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aska_burnishstone's diaryのコメント集、【他】

【仕事】   ブラック企業で働くということ

 

私はブラック企業

これまで働いたことがなかったのだが、

今回初めて自分が働いている会社が

明らかなブラック企業であることに気づき、

ブラック企業で働くという経験をしてしまった。

 

あれは数ヶ月前の事件だった。

 

私は経理として働いていた。

 

入社した当初から

経営状況は悪く、ここ10年ほぼ赤字であり

副業の資産運用によって成り立っているような

会社であった。

 

売上規模は数億円単位のものであり

その経理業務を一人でこなすような形であって

なかなか量のある業務であったが、勉強になることもあった。

 

しかし、事件が起こった。

 

広報の仕事を

一人で担当していた女性が

突然辞めてしまったのだ。

 

大した仕事ではなかったが、

この仕事は対外的に会社にとって重要な仕事であり、

その女性以外誰もできる人がいないため

会社全体が動揺した。

 

その女性と連絡を取ろうも

絶対に電話に出てくれず、

社長が直接、その女性の家に行くと言って

かなり苛立っていた。

 

そんな中、突然私は社長に呼ばれて

「おまえにこの仕事を引き継いでほしい」と

引継ぎを依頼された。

 

私は専門外の仕事であるため、

断ろうかと考えていたが、中小企業である以上

何でもやらなければならなく、やむを得ず引き受けた。

 

その時は、社長は

私の将来の出世を約束するなど言って

私を重宝してくれた。

 

私はメールのみでということを条件に

なんとかその女性と連絡を取って、ある程度引継ぎをし

ある程度、仕事が回るようになった。

 

しかし、それで社長は納得せず

その女性を会社に呼び出して、退職の挨拶をしない限り

その女性の家へ行って恫喝する、

場合によっては損害賠償請求をするなど言い出し、

1日だけを条件にその女性に会社に来てもらった。

 

社長はその女性を怒鳴り出し、

泣きながら、私の引継ぎが正しいか否かをチェックし

会社の人から白い目を向けられたまま、

その女性は会社を去っていた。

 

「お疲れ様」といった挨拶すら

私以外の誰も、その女性に対してせず、

皆、その女性を睨みつけていた。

 

当時、私は会社に同感し、

彼女に来てくれたことを感謝しつつ、

半分恨んでいた。

 

その騒動が終わった後、

私の残業時間は普段の残業時間の倍に膨れ上がった。

 

定時に帰れることはなく、

早くて9時、遅くて0時が当たり前で、かつ

私の場合、会社から家まで距離があったため

通勤に往復2時間かかっていた。

 

家に夜遅く帰ってきて、

誰よりも早く起きて会社に向かう生活が

当たり前になった。

 

それに加えて、この会社は

当初から人件費抑制のために、残業代を定額化しており

いくら残業しても、残業代が出ない仕組みになっていた。

 

中小企業である以上、

半ば仕方ないと腹をくくっていたものの、

だんだんとこの会社がわかってきた。

 

この会社は

何をやっても経営がうまくいかない。

 

どうやったって赤字でしかなく、

削るものは人件費しかないのである。

 

少しでも

担当者に余裕があるとわかると

どんどんその人に仕事を押し付けてくる。

 

仕事の役割分担などほぼないのである。

 

仕事とは

余裕のある人の仕事といった感覚が

経営者のみならず、社員に当たり前のように

浸透していた。

 

そして、

経営者は一切責任を取らず、

会社にとって不利な出来事が起こる度に

それはすべて社員の責任になっていた。

 

ただでさえ、余裕がない中で

誰も責任を取る余裕がないのに、

無理やり責任を取らされる理不尽さを感じた。

 

また、私は経理という立場にいる以上、

誰がいくら給料をもらっているかをすべて知り得た。

 

驚くことに私より立場の上で、かつ

私より仕事量が多い人が私より給料が低かったことがあった。

 

なぜこうなっているのだろうか?

 

そういった疑問を

誰に対しても聞けない、聞いてはいけないような

独特な雰囲気が会社にはあった。

 

そして、自分がこの会社で

どれだけ頑張っても経営者が変わらない限り、

報われないことを確信した。

 

そこで、私は退職することを決意した。

 

自分が異常な環境にいるのに、

その異常さに慣れて、感覚が麻痺していることに

気づいた。

 

やはり、私は家庭があることから

転職先を確保してから、退職願を出そうと思ったが、

これだけ残業し、かつ休日が日曜日しかないといった状況で

転職活動自体、することがほぼできないことに気づいた。

 

逃げ道がないのである。

 

日曜日に

面接してくれる会社を探したが

そんな会社はほぼなかった。

 

そこで、

勤務スタイルを変更し、

0時近くまで残業する日を週に3日作ってから

残り日数を比較的早めに帰るという形にした。

 

その方が効率がよいなど言って

自分に都合のよい理由をつけて会社の人を納得させて

転職活動をした。

 

そして、

運よく転職先を確保して、

就業規則に従って1ヶ月前に退職願を提出して

これでやっと辞めれると一息ついたところ、

私は奈落を見てしまった。

 

私の仕事を引き継げる人が会社に誰もいないのである。

 

ただでさえ皆、忙しく仕事をしている中

私がやってきた仕事ができる人が誰一人いないのである。

 

経理という専門性のある仕事を

一朝一夕で身につけられるほど器用な人は

誰もいないのである。

 

そこで、社長に相談したところ、

ハローワークへ求人を出す」といった陳腐な回答を

得てしまった。

 

社長の指示に従って、

ハローワークへ求人を出したが、

本当に驚くことに人がほとんど来ないのである。

 

人が来たとしても、

50代以上で他の会社でリストラされた人や、

これまで正社員になったことがないような人などが

ほとんどであった。

 

そんな会社に

入社してしまった私が言うのもなんだが、

新しい会社でスキルアップをしたいなどまともな動機を

持った人がほとんど来ないのである。

 

私は転職したくしても

できない状態に追い込まれたため、

徹底的にこれまでやってきた仕事を分析し、

一つ一つ簡単な作業に分解し、

誰でもできるような仕事に仕事を変換した。

 

300ページ近いマニュアルまで準備し、

ハローワークに提出した求人票の入社条件も引き下げた。

 

そして、私の努力の甲斐あってか、

少しはまともな人が会社に応募してくれて

なんとか採用し、引継ぎを終えた。

 

一通り、レクチャーしただけであり、

担当者が実際にできるか否かはわからないが

退職日までに引継ぎは終えた。

 

そして、最終日に社長に対して

これまでお世話になった旨の挨拶をしたところ

突然、面談することになった。

 

簡単な引継ぎの最終確認をしながら、

驚くべき発言を耳にしてしまった。

 

「引継ぎとは、引き継いだものが

(引き継いだ)というものではなく

 引き継がれたものが(引き継いだ)ということだ。

 それまで辞めれると思うな」

 

その話を上司や同僚に話したところ、

驚くことにほぼ全員、社長に同感していた。

 

私は数ヶ月前に、

広報の女性が突然辞めた出来事を

ふと思い出した。

 

あの当時、広報の女性を恨むと共に

自分が会社の中心的位置に引き上げれたことを

素直に喜んだ。

 

それが現在、私は

広報の女性の立場と全く同じ立場に

立たされてしまったのである。 

 

火の鳥 (3) (角川文庫)

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手塚治虫

火の鳥の「異形編」の

八百比丘尼の話を思い出した。

 

ブラック企業で働くとは

こういうことだったのかとすべてを理解した。

 

私は引継ぎの最中

会社の人に恩を感じて、新しい人が来て

周りに迷惑をかけないように徹底的に準備してきたが、

最後の社長との面談によって完全に気持ちが吹っ切れた。

 

これまで私が

会社に貢献してきたことに対して

一切、感謝の言葉をかけず、

最後の最後でこういった追いこみをかけるような

会社なのだなと。

 

そう思えてからは

会社のことは何も考えず、自分のことだけ考え

担当者に仕事を渡して、無事退職した。

 

その後、会社がどうなるかは私の知ったことではない。

 

今、そういった気持ちにある。

 

最後にまとめると、

ブラック企業は経営がうまくいってないか

過度な利益追求を目標にしてることが多いことから

生まれるように思える。

 

経営者そのものに問題があるというより

企業自体が現在、置かれている立場に問題があるように思える。

 

そうである以上、

こういう会社に定年までいることを

考えること自体、間違えている。

 

こういった会社で働く場合

気をつけることは入社を考える際に常に退社を考えることである。

 

どのようにやめるべきか。

 

私は運よく退職することができたが、

私がいた会社の退職事例は、6割強ドクターストップである。

 

外資系企業では「up or out」

(昇進か、退職か)などと言われるが、

ブラック企業では「work or hospital」(就業か、入院か)と

私は言いたい。

 

場合によっては

私も本当に病院行きになっていたかもしれない。

 

特に仕事量が増え、責任が重くなればなるほど

その危険は高まっていくだろう。

 

しかし、そういった会社であっても

良い点が全くないわけではないだろう。

 

私の別部署の人であったが、

ある程度の経験を必要とする職種の仕事であったが

若くして未経験ながらその仕事に就くことができた。

 

そういった職種の場合、

普通の会社であれば見向きもされないような人が

この会社ではその職種に就くことができた。

 

ここで数年その経験を積めば

一般的な待遇の会社にもしかしたら転職できる可能性がある。

 

このように消費者にとっても、

経営者にとっても、労働者にとっても必要とされるが故に

こういったブラック企業は存在してしまうのだと思う。

 

以上のように、

私はブラック企業で働いた感想を書いたが、

おそらく全然ブラックではない、中小企業であれば当たり前だと

思われる人もいるだろう。

 

実際、私も書いていて

これが中小企業の現状であり、こういった会社が

増えていき、これが当たり前になるだろうと思っている点もある。

 

しかし、そうだとしても

中小企業においては売上げがなくなることで

会社が潰れるだけでなく、労働者がいなくなることで

会社が潰れる可能性が今後高くなっていくだろう。

 

そんなことをふと思った。