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aska_burnishstone's diaryのコメント集、【他】

【仕事】   10年前の自分に薦める一冊

これまで読書に関する事柄を述べてきたが、
最後に10年前の、私が本を読む習慣を持っていなかった時の自分に
一冊薦めるとしたら、何を薦めるかを考えてみた。

 

私は、この本を薦める。

 

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

 

 

この本は、法廷で告発され
ソクラテスが自己を弁明するといった話である。

 

この本から引き出すメッセージはこれである。

 

「本当にやりたいことだけをやれ」

 

以前、書いたが、公企業でつまらない事務職に従事し
いかに働かないかを同僚と競うように働いていた日々において
これまで読んできた哲学者達がすべて「パレーシア」というものに基づいて
哲学をしていたことに気づいたことがあった。

 

その後、フーコーのルーヴァン講義を読んで
パレーシアという概念に基づいて哲学史を再構成しようと企てていたことに
驚き、私は「ソクラテスの弁明」に戻った。

 

2016/08/29 8月29日 - 77のブログ

【音楽】 THA BLUE HERB / THA GREAT ADVENTURE - MIXED BY DJ DYE - 77のブログ

 

とても新鮮であると同時に
自分が探していたものがここにあったと気づいた。

 

この本から引き出したいことは
「哲学をやれ」といったことではなく
「本当にやりたいことをやれ」といったことに尽きる。

 

もう10年も前のことであるが、
当時、私は学生の身分で司法試験の勉強をしていたが、
法学部出身ではなかった為、周りに司法試験をやっていた人がいなかった。

 

そこで、mixiが全盛期であったこともあり、
mixiを使って、司法試験の勉強仲間を探そうと思って、
あるコミュニティーに参加し、仲間を増やした。

 

当時、一緒に勉強していた人ほぼ全てが
皆、弁護士として活躍しているが、その中にBさんというベテラン受験生がいた。

 

Bさんは、有名大学法学部卒業後、
一度も就職したことがなく、専業受験生(浪人)をしていた。
約15年ほど司法試験をやっている人だった。

 

そのコミュニティーでは、
皆で実際に会って、答案を評価する機会が多々あって
それに私はよく参加していた。

 

当然、Bさんにも実際に会ったが、
風貌は30代中盤であるのに、あまりに幼稚で仲良くなりたいとは思わなかったし
おそらく周囲の人からも見下されていただろうなと推測できた。

 

私が司法試験をやめる直前に少し揉め事があって以来
Bさんとは会ってはいないが、Bさんの友人とは連絡を取っていた為
後日、Bさんが司法試験に合格し、弁護士になったと聞いた。

 

そんなBさんであるが、最近になって
私も当時のBさんと同様の年齢になったこともあって、
ふと自分の生き方とBさんの生き方を比べて見て思うのは
私は、Bさんに負けたということだった。

 

私は司法試験をやっていたが、
結局、ロースクールに行く金がなく将来性も見えないため、やめてしまったが
本当にやりたいことであれば、やるべきであった。

 

奨学金を借りるなり、親に相談するなり、
又は働いてカネを作るなりするべきであった。

 

やろうと思えばできたことであるのにやらなかった。

 

今にして思うと、私はカネがなくて司法試験をやめたのではなく
私は世間に負けたために、司法試験をやめたのである。

 

その後、特別やりたい仕事もなく、
テキトーに労働をしてきて思うのは、本当にやりたい仕事がないのであれば
労働をするべきではないということだ。

 

「本当にやりたいことをやるべきである。」

 

そう思うようになってから、
あれだけ馬鹿にしていたBさんを尊敬するようになった。

 

後ろ指差されても
世間から見下されても
本当にやりたいことをやるべきである。

 

おそらくBさんが
司法試験に受からなかったならば、
途中で就職をしたりせずに一生働かなかったかもしれない。

 

仮にBさんがそうしたならば、私は彼を手放しで尊敬しただろう。

 

過去に戻れるならば、
ドラクエ5の主人公のように
かつての自分に出会って本物のひかるオーブを偽物と交換するように、
10年前の自分に出会い、手に持っている択一六法と
ソクラテスの弁明」を交換して、「本当にやりたいことをやれ」と
言ってやりたい。